ミニFMをはじめてみよう!

 ミニFMをはじめたい!
 ミニFMを始めるにはどうしたらいいの?
 どこの機関への登録が必要で機材は何が必要なの?といったことにお答えします。

 先ほども書きましたが、ミニFMは申請や免許が要りません。
 最低限必要なものは電波を出す装置、即ち送信機です。
 トランスミッタ(*1)と呼ばれることもありますが、どちらで呼んでも構いません。
 このページ内では特に断りがない限りトランスミッタと呼ぶことにします。

 トランスミッタは、音声信号をFM電波に変換する装置と解釈してください。
 この機械がなければ肝心の電波を送信することができません。

 価格は最も安い組み立て品で1,000円〜。高いもので1万円〜10万円で、業務仕様のものは数百万のものもあります。

 いきなり高級機種を購入するのも気が引けてくると思いますので、はじめて購入される方は1,000円〜5,000円位のエントリークラスのものでOKです。大半のミニFM局のトランスミッタは2万円前後の高性能品を使用することが多いようです。

 本当に簡単にミニFMを体験してみたいということならば、MDやCDをFMラジオに飛ばす、「簡易オーディオトランスミッタ」を使用すると良いでしょう。
 価格は非常に安いですし、ホームセンターやカー用品店で手軽に入手できます。
 電源を入れればすぐに使えますのでお手軽さは◎ですが、いかんせん簡易式ですので電波は10メートル程しか飛びませんし、音質もなんとか聴けますといった感じであまりお勧めはできません。

 もし半田ごてを使うことができる(もしくは使ってみたい!)という方でしたら、市販品よりも専用キットをお勧め致します。
 市販品とキットを比較すると、同価格でも専用キットのほうが全く性能が良いことが多いからです。また、自分で組み立てることにより電子回路を理解する手助けにもなります。

 キットでの入門機として強力にお勧めするのは、ワンダーキットの「YO−10B」というトランスミッタです。価格は3,500円で秋葉原ですと千石電子で、来店が困難な場合メーカーの通信販売でも入手できます。

 このキットは入門機として最適というだけではなく、基本性能も同クラスのトランスミッタの中ではトップクラスです。電波の飛びもかなり良いですし、安定性も抜群です。
 ちゃんと調整した状態で、見通しのよいところならば無改造で100メートル以上は余裕で飛ぶと思います。特に製作に難しいところはありませんので機会がありましたらぜひ製作してみてくださいね。

 さて、トランスミッタが用意できても、肝心の音源がありません。
 ミニFMは簡易放送局ですから、音響設備も簡易な物でOKです。最近は安いオーディオ製品でもそれなりのパフォーマンスがあるので有り難いです。

 本当は単体のCDデッキ、MDデッキ、DATデッキなどがあれば良いのですが始めからそれはきついですので普通のミニコンポで良いでしょう。
 ミニコンポがなければラジカセなどでもOKです。ただ、LineOUT端子がある機種が望ましいです。最悪、ヘッドホンなどを接続するイヤホン端子などからの出力でもOKです

 マイクでアナウンスをしたい場合はMicIN端子がないとダメです。最近の廉価デッキは、それらの端子が省略されていることが多いので要注意です。

 最後に、送信を行う周波数を決定しましょう。
 テレビなどは電気に詳しくない人でも扱えるよう、周波数表示ではなく、チャンネル表示になっていますよね。それでももちろん、各チャンネルは周波数が割り当てられていますので、テレビを見る場合は意識せずに周波数を変更して見たい番組を選択しているわけです。

 一方、ミニFMはラジオですから、直接周波数で指定します。
 一般的に市販されているラジオですと、76.0MHz〜90.0MHzまで受信が可能ですのでその中から、混信しない空き周波数を見つけてください。
 見とおしの良い場所に移動して、他のFM放送がない周波数を探します。
 首都圏などでは上から下までほぼ空きが無く放送局が埋まっている状況も少なくありませんが、なんとか自分の局用の空きを見つけて下さい。

 これだけそろったら、いよいよ放送を行いましょう!
 始めは試験放送ということで番組などは流さず、音楽のみをリピート再生するのが良いでしょう。

 アンテナを設置しない場合は、トランスミッタから伸びているアンテナ線を窓などからめいっぱい外に出した状態で放送を行います。アンテナがついていないトランスミッタの場合は、本体をできるだけ窓際に置いてください。
 用意ができたら、音楽を再生しっぱなしにして家を飛び出します。ポータブルラジオやカーステレオでどこまで電波が到達しているか確認しましょう。

 ・・・どうですか?思っていたよりも全然飛ばなくてガッカリ(*2)しましたか?

 コードレスホンをお持ちの方は、そちらと比較されると良いでしょう。おおよそ、状態が良くてコードレスホンと同程度まで電波が飛びます。

 どうしても飛びが悪い場合は「送信アンプ」を取りつけることにより大幅にサービスエリアが拡大しますが、電波法に接触してしまいますし、ミニFM用であるトランスミッタの送信信号を増幅してしまうと、ご近所のテレビやラジオに妨害電波(*3)が入ってしまうことが多々ありますので正しい微弱電波範囲内で放送を行いたいものです。

 余談ですが、ミニFM全盛期は民放FM局以上の出力を出し、ひとつの県をカバーするほどまでの違法電波を出している局もあったそうですが、最近はめっきり聞かなくなりました。
 放送するからには、1人でも多くの人に聞いてもらいたいという願いは常にあるもの。法改正されて免許制(許可制)になり、開いている周波数帯へもう少し出力が出せるようになれば、今まで以上に面白いものになりそうですね。

(*1)トランスミッタ(Transmitter)
 ミニFMの心臓部であり、最大の課題であるトランスミッタ選びと製作。
 十数年前までは各音響製品メーカーからこぞってトランスミッタが発売されていましたが、2003年現在はなしのつぶてです。
 ミニFMをはじめてしばらく経つといろいろ気になってくる部分が出てきます。
 「音質が悪い!」「送信周波数が時間によってふらふら変動する!」「なんでこんなに送信距離が短いの?」・・・等々。
 現在、数千円〜数万円で現在手に入れることができるトランスミッタは残念ながら何かしら不満が出てしまうのが現状です。技術がある方は徹底的に問題点を洗い出して独自設計を行い、放送を行っています。それらは本物のFM局にも引けをとらないクオリティになっています。しかしすべての方がそういった設計・製作ができるわけではありません。予算が割ける方はサクっと放送用機材(・・・価格は数百万円〜です)を購入されて、なんともうらやましい限りです。
(*2)全然飛ばなくてガッカリ

 100メートルや200メートルしか電波が飛ばないのではせっかく作った番組がかわいそうですよね。そもそもミニFMは郵政省がミニFMといったくくりで「放送してもいいですよ」と許可しているわけではなく、ミニFMに限らず、すべての周波数帯において「規定値以下であれば自由に電波を送信しても良いですよ」といった取り決めがあるのです。ですから、当然ミニAM放送局やミニテレビ放送局なども存在します。
(*3)ご近所のテレビやラジオに妨害電波
 テレビに対する妨害をTVI、ラジオに対する妨害をBCIと呼びます。
 ミニFMなどで使用するトランスミッタは、あくまで簡易送信機ですので、本来想定していない周波数に不要な電波が出てしまいます。
 これは電波の性質上どうしようもないことで、プロが使用している送信機(=放送局向け送信機)でも出てしまいまうことなのですが、プロが使用している送信機は妨害電波が出ないよう、あらゆる手段で対策をしています。その結果、許可されている周波数以外に妨害を与えない、クリーンな電波が送信できるというわけです。

 トランスミッタへ送信アンプを取りつけると、メインの電波の出力は当然上がりますが、送信機が出す余計な電波まで増幅されてしまいますので近隣の周波数帯のテレビやラジオに悪影響を与えます。安易な出力アップはトラブルの原因ですのでその点に十分に注意して正しくミニFM放送を楽しみましょう。